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Ninja Striker! 開発者インタビュー:Q-Cumber Factory

Ninja Striker!(レビュー)のデベロッパー、Q-Cumber Factoryの佐藤徹志さん(以下、佐藤)との独占インタビューです。

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まずは簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか?

佐藤:AppsJP読者の皆様、はじめまして。Q-Cumber Factory佐藤と申します。個人でiPhone/iPad向けにゲームを開発しています。

 

Q-Cumber Factoryについて詳しくお話いただけますか?

佐藤:Q-Cumber Factoryは私が個人でやっているゲーム開発事業です。アプリ開発を本格的に始めるにあたって今まで務めていた会社を辞めましたので、いちおう本業ということになるかと思います。いまのところ言うほど儲かってないですけど。基本的にプログラム、音楽、グラフィック、ゲームデザインなど大半の作業は私が一人で行なっています。Ninja Striker!について言えば、一部のグラフィックは私の弟に手伝わせました。暇そうだったので。(笑

余談ですが、AppStoreのパブリッシャ名がRogue Ninjaになっていますが、これは本来Q-Cumber Factoryとしたかったのですが、どうも登録時にパブリッシャ名を記入する欄に間違って第一弾アプリのRogue Ninjaのタイトル名を入力してしまったらしく、Rogue Ninjaの名前で登録されてしまいました。

いちおうAppleのデベロッパサポートに連絡してこのパブリッシャ名は誤記なので修正して欲しいとお願いしたのですが、「パブリッシャ名の登録後の変更は個人名か企業名(法人アカウントのみ)にしか変更できない」と言われてしまったので仕方なくこのままになっています。というわけでいつかは会社をたちあげたいと思っています。パブリッシャ名をQ-Cumber Factoryに変更するために。(笑

 

Ninja Striker!はQ-Cumber Factoryの二作目となります。そもそもなぜiPhone向けのゲームを開発しようと思い立ったのでしょうか?動機をお聞かせください。

佐藤:子供の頃から将来ゲーム開発者になりたいと考えていまして、当時特に好きだったゲーム開発者に中裕司さんや中村光一さんなどプログラマー出身の方が多かったこともあり、「ゲーム作るならまずはプログラム技術を身につけねば!」という勝手な思い込みもあって大学では情報工学を専攻し、就職後はプログラマーとして働いてプログラムのスキルを磨きつついつかはゲームを作りたいと思いつつチャンスを伺っていました。もちろんゲーム開発者になりたいならば素直にゲーム会社に進むという手もあったのですが、当時はまだインディーズゲームというような概念というのは一般的ではなかったものの私が志向するゲーム開発のありかたというのが「ゲームは一人、あるいは少人数によって開発する」というものであり、その一方でゲーム会社の開発体制というのは年々拡大の一途をたどっていて自分が志向しているスモールな開発体制とは真逆の方向に進んでいると感じていましたので、おそらくゲーム会社に進んでも自分が望むようなゲームの開発はできないだろうと考え、このような選択になりました。

その後某掲示板で成人向けのフリーゲームを制作する活動を行い、ゲーム制作のスキルを磨きつつチャンスを伺っていたのですが、そのころ登場し、勢力を拡大していっていたのがiPhoneとAppStoreというマーケットでした。私もiPhone3Gの発売当時に話題性はあったものの出たてで未知数だったiPhoneに思い切って乗り換えてみたのですが、タッチパネル操作や従来の携帯とは比較にならない大画面からくる快適性はもちろんのこと、AppStoreから提供される数々のアプリには便利なツールや面白いゲームもあり、これがiPhoneの大きな魅力となっていると感じました。また、AppStoreはその参入障壁の低さから個人でも参入が可能であり、個人でゲーム開発を行うのに適したマーケットなのではないかと考え始めていました。

その一方で自分が不満に感じていたのが、ローグライク系のゲームであまり自分が気に入るものがなかったことでした。後述しますが、iPhoneで通勤電車の中で暇つぶしに遊ぶゲームとしてローグライク系は適していると考えていたので、もっと良いのがあればなあと考えていて(一番いいのはチュンソフトさんが不思議のダンジョンの移植なり新作なり出してくれることですが)、せっかく最近ゲーム制作のスキルも身についてきているしそれじゃあもういっそ自分で作ってしまおうと、そうした経緯からRogue Ninjaの開発をはじめました。

iPhone向けのゲームを開発している目的はどういったところでしょうか?

佐藤:現在でこそ個人がゲームを開発してそれを有料や基本無料+課金、あるいは広告収入などのモデルで販売できるマーケットは珍しくなくなってきつつありますが、数年前私がアプリ開発を始めた頃まではそれが成立しうるマーケットとしてはほぼ唯一であったと思いますし、またユーザー層の裾野の広さという点については現在においてもトップクラスであると思います。

もちろん従来のゲーム機のような物理キーのコントローラーが使えないため操作性を工夫しなければならないなどの難しさはありますが、それを補って余りある魅力はあると思います。

デフォルトの言語設定が英語、ストアのアプリ概要も英語、YouTubeの説明文も英語ということで市場規模が大きい海外のプレイヤーを見据えて開発されたことが伺えます。個人・法人問わず日本の開発者で、最初から世界を見据えている人は多くないと思いますが、どうしてでしょうか?

佐藤:一般に、AppStoreのユーザー数はUSストアが日本のストアの10倍程度多いと言われています。だったら、その10倍多いマーケットを狙ったほうが効率的じゃん、というびっくりするくらい単純な動機から来ています。主人公が忍者なのも海外では忍者とか受けるだろうという単純な発想から来ています。(笑

それで日本語対応はめんどくさいからいいか、と最初は思っていたのですがやはり日本のプレイヤーからは「日本語対応してほしい」という声をたくさんいただいていたので結局対応させていただきました。結果的には日本語対応にかかった手間に比してアップデート後の販売数の伸びが良かったので、じゃあこれからは日本語対応はしておこうという結論になりました。(笑

ちなみにNinja Striker!のAppStoreでの説明文が英語オンリーになっていますが、これはGameCenterやアプリ内課金機能のデバッグのためにとりあえずアプリを登録する必要があったので、英語だけ入力しておいて後で追加修正すればいいかと思って適当に入力したのですが、実はアプリ説明文の言語の追加はバージョンごとにしかできないということが後から発覚してしまいまして仕方なく現在では英語のみになっているという状況です。次回バージョンではちゃんと日本語の説明文が表示されるようにする予定です。(笑

Ninja Striker!を開発するにあたり、インスパイアされたゲームがいくつかあると思いますが、実際はどういったゲームにインスパイアされたのでしょうか?

佐藤:私が最も好きなゲームの一つにセガサターンのNiGHTSがあり、このゲームが持っているスピード感や爽快感のあるプレイ感覚はNiGHTSに倣っているところが大きいです。また、プレイしていくうちに自然に操作方法やテクニックを身につけていけるようなステージデザインという点ではスーパーマリオブラザーズなども参考にさせていただいています。他にはこれも定番ですけどロックマンや悪魔城ドラキュラ、星のカービィなどの影響も少なくないと思います。

現在はまだ無料ですが、有料に戻すタイミングはいつごろでしょうか?

佐藤:当初とりあえずざっくり1週間くらいでいいかと考えていて具体的な日程は決めていなかったのですが、リリース後にプレイヤーからアプリがクラッシュすることがある、画面の振動エフェクトが強すぎて人によっては酔うなどの報告が上がっておりました。それらに対応したアップデートを行い、そのアップデートと同時に定価に戻すプランで考えています。1週間よりはやや長くなってしまいますが、せっかくお金を払っていただくわけですし、なるべく不具合のない状態で楽しんでいただきたいですからね。お金が入ってこなくて困るのは作者だけです。(笑

難易度がちょっと不自然な気がしたのですが、どういう考えで難易度設定をされたのでしょうか?

佐藤:作者の感覚としては普通に徐々にボスを強くしていっているつもりでいました。不自然だと感じたのでしたらそれはおそらく単に作者の調整ミスです。いちおう言い訳をさせて頂くならば、作者は最初からある程度ゲームに慣れた状態でバランス調整を始めますが、プレイヤーはゲームを進めながら徐々にゲームに慣れていくので、相対的には2、3面のボスのほうが強敵でもゲームに慣れていない時期に戦った1面ボスのほうが強敵だった、という印象を持たれることはあるのではないでしょうか。まあ、そこまで含めて調整しろという話ではありますが。(笑

ちなみに、1面ボスの時点でこのゲームでのボス戦で基本となる「動き回る敵をタップして攻撃する→危険になったら離脱する」という動きを既に要求していますので、プレイヤーは1面ボスを倒した時点でこの基本をある程度マスターすることになると思います。そう考えると1面ボスは全く動くことがない敵にして、動き回る敵を補足する必要はなく「攻撃する→危険になったら離脱する」だけでクリアできるようにしておいたほうが良かったかもしれませんね。いまさらですけど。(笑

自分が遊びたいゲームを作りたかったのか、それともプレイヤーにしっかり遊んでもらえる面白いゲームを作りたかったのか、Ninja Striker!を作った本音部分をお聞かせ願えますか?

佐藤:これはQ-Cumber Factoryにおけるゲーム開発の基本的なスタンスではありますが、まず面白いゲームを作ってプレイヤーに楽しんでもらうという目的が最初にあり、それを継続的に続けていくためにお金を払ってもらう、あるいは現在は導入していませんし、今後導入するかもわかりませんが広告モデルを導入するなりで収益化を行う、という考えでいます。つまり主従関係はあくまで面白いものを作ることが主であり、そのためにお金が従としてあると、そう考えています。

その上で、「自分はこういうのは面白く無いと思うけどプレイヤーには受けるだろう」みたいな作品を作れるほど自分は器用ではありませんので、まずはしっかり自分で面白いと思えるものを作り、その上でそれを他人にテストプレイをしてもらって、その感想をフィードバックするという方法で自分だけしか面白いと思わないような作品にはならないようにと開発しております。

ちなみに画面の向きについてですが、まずQ-Cumber Factoryの1作目となったRogue Ninjaでは縦画面とし、更に片手だけで十分操作可能であるという点にこだわって作成いたしました。これは自分が学生時代に通学の電車の中で風来のシレンGB 月影村の怪物やトルネコの大冒険2アドバンスをやりこんだ経験から来ているのですが、いわゆる和製ローグライクゲームというのは通勤・通学の電車の10分~1時間程度の短いプレイ時間で、しかもどのタイミングでもすぐやめてまた再開して遊ぶ、という遊び方に向いていると思います。ただ、ゲームボーイやゲームボーイアドバンスではどうしても操作形態上両手を使わないといけないため、混雑した電車で吊革につかまった状態でプレイするには向いていませんでしたので、Rogue Ninjaの操作パネルは片手で吊革につかまったままでもプレイできるよう工夫しました。

Ninja Striker!も、出来れば縦画面で片手だけで操作できることが望ましいと考えはしましたが、横スクロールアクションゲームということもあり縦画面ではどうしても快適性を損ないますし、ゲーム内容的にも吊革につかまったまま片手で激しいアクションゲームを楽しむのは難しいだろうと思ったので、今回は横画面で腰を据えてしっかり遊べるゲームという方針で作らせていただきました。

それでもスマホ用ゲームということもあり短い時間で遊べる内容にはしたかったので1ステージ1ステージは1分程度で終わるようにし、お気軽に遊んでいただけるようにはいたしました。というわけで、電車の中で吊革につかまったままゲームがやりたい方でRogue Ninjaを未プレイの方にはぜひRogue Ninjaをプレイしていただければと思います。(笑

Q-Cumber Factoryのゲームは2作ともドット絵+チップチューンが共通点となっています。これは荒削りながらも、単なる暇つぶしではなくゲームを遊ぶこと自体が楽しかった時代への郷愁を感じてのことでしょうか?

佐藤:まず大前提としては自分が個人的にドット絵のグラフィックやチップチューン音楽は大好きというのがあります。その上で、特に自分のような個人開発者にとってはドット絵によるグラフィックを採用するべき理由は多くあると考えています。

まず第一に、技術的、工数的な問題があります。より高精細なグラフィック、よりリアルなグラフィックを追求するならばそれは莫大なリソースを要求してしまいますし、個人開発者がどれだけがんばっても多くの人員や機材を投入している大手デベロッパーに並んだりあるいは勝ったりするものを作ることはまず不可能であろうと思います。(個人的にはそもそもゲームが高精細でリアルなグラフィックを追求すること自体に疑問を感じますが、その件については後述いたします)

一方で、ドット絵のグラフィックというのはそれなりの制約が発生してしまいますが、その反面個人デベロッパーでもちょっとした技術とセンス次第で十分通用するクォリティーのグラフィックが作れます。また、少し前にファイナルファンタジーⅤのiOSでのリメイク版がリリースされた際に話題になりましたが、2Dでグラフィックを表現する際に中途半端な高精細な画面にすると、かえって見た目がチープになってしまうという問題もあります。(私が知っている限りだとiOS版のロックマンXにおいても同様の現象が発生しています。)

一枚絵による表現ならばともかく、アクションゲームのように動きまわるグラフィックでチープに感じさせないクォリティーを個人で実現するのは不可能ではありませんがなかなか難しいと思います。またドット絵のグラフィックやチップチューン音楽を好むユーザー層はもちろんありますし、さらにそうした層と自分が作るゲーム性の方向性を好んでくださるであろう層も少なくない割合でかぶっているために受け入れられやすいであろうと考えています。

こうしたことを総合的に判断した上でドット絵+チップチューンの表現にこだわって開発させていただいております。まあ結局は自分がドット絵とチップチューンが好きだってだけなんですけどね。(笑

Ninja Striker!の今後のアップデート予定についてお聞かせいただけますか?

佐藤:先にも触れましたが、とりあえずの予定としては現在アプリが強制終了することがある、人によっては画面が振動するエフェクトが強すぎて気持ちが悪くなるなどの報告がプレイヤーから上がっておりますので、この点について修正を行ったアップデートを近日中にリリースする予定です。その上で、自機キャラクターの追加、新ステージの追加、ボスアタックモードの追加などをできたらいいなとは考えていますが、この辺りについては順番や時期、そもそも本当にやるかやらないかについても未定ですのであまり期待しないでお持ちいただければと思います。(笑

次の新作に関してお聞かせいただけますか?ドット絵+チップチューン路線は継続していくおつもりでしょうか?

佐藤:いろいろ自分の中で案はありますが今のところは未定です。とりあえずはNinja Striker!のアップデート作業を行いながら次回作の具体案を練る形になると思います。また、ドット絵+チップチューン路線は今後も継続していきたいと思います。

Kickstarterなどを利用して資金を集めて規模の大きいゲーム開発をしようなどというお考えはないのでしょうか?

佐藤:今のところ考えていません。といいますのも、そもそも規模の大きいゲームを作ることに興味が無いといいますか、ゲームの開発規模をむやみに大きくすべきではないと考えているからです。

ゲームの歴史を辿るとこれはほぼ大作化の歴史とイコールといってよく、時代が下るにつれてゲームの開発予算というのは膨らみ続けています。いわゆるAAAタイトルといわれる超大作はこうして膨らんだ開発予算を圧倒的な販売本数を稼ぐことでカバーしています。しかしゲームの市場規模、プレイヤー人口というのが頭打ちしつつある昨今ではゲームの販売数というのはパイの取り合いのいわゆるゼロサムゲームになってしまいますので、中途半端な大作がこうしたAAAタイトルの圧倒的な販売本数の割を食って販売数を減らしつつある状況にあると思います。また、AAAタイトル自身も確実に販売数ノルマを達成しなければ莫大な開発費用を回収できなくなるという制約が課せられているために内容的に冒険ができず、似たりよったりな内容でただ見た目が綺麗になっただけだったり、とりあえずボリュームをかさ増ししただけの内容に陥りがちです。結果としては超大作による他のタイトルの駆逐と超大作自体の内容の硬直化、これらの二重の効果によりゲームから多様性が失われてしまうと思います。

この状況で昨今勢力を伸ばしつつあるのがいわゆるインディーズゲームと呼ばれる個人や小規模の開発規模によるゲームですが、AppStoreを始めとしてGooglePlayやSteam、あるいはコンシューマゲーム機のダウンロードソフト販売などのインディーズが参入可能な販売インフラが整備されてきたことに加え、こうして失われた多様性を補完する存在としての需要が大きいこともインディーズが昨今勢力を伸ばしている一因ではないかと思います。インディーズの開発コストの少なさはそのまま販売ノルマの低さにもつながるため、ニッチな需要をついた多様なソフトが供給可能になっていると思います。

また、大規模な開発現場においてはその規模と引き換えに開発者にはどうしても数々の制約が課せられてしまいます。インディーズの小規模な開発においてはたしかに小規模故にグラフィックの精細さやリアルさ、ボリュームなどでは大作にはかないませんが、かわりに開発者がその個人の感性に赴くままにのびのびと開発を行うことができ、こうした自由な開発環境やそれがもたらす独特のテイストもまたインディーズゲームの魅力であると思います。

もちろんインディーズであってもそれなりの規模のチームを組んで開発を行なっているところや、少人数であっても開発期間を大きく取ってそれなりの工数をかけて開発を行なっているところもあるかと思いますが、そうしたところの真似をしようと拡大路線に走り始めるとかつてのゲームの歴史がそうであったように大作化の流れに歯止めが効かなくなりそうな気がするので、当面は限られた資源のみを用いてコンパクトだけどしっかりした作りのゲームを目指して開発を行なっていきたいと思っています。

最後に世界中のプレイヤーにメッセージをお願いします。

佐藤:Q-Cumber Factoryでは今後もコンパクトでしっかり遊べるをテーマにゲームを作っていきたいと思っています。とりあえずは現在リリースされているNinja Striker!、Rogue Ninjaをお楽しみいただきつつ、次回作以降にもご期待いただければと思います。

Thank you for playing my games. I’ll try to keep up the good work for developing the solid games. For now, enjoy Ninja Striker! and Rogue Ninja! Hopefully, you can check my next game in the near future.

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新作インプレッション:FallDown! 2、Ninja Striker!など

インタビュー:Gee7/AppsJP 翻訳・編集:6PAC/AppsJP



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